2013年1月14日月曜日

リッツ・カールトンの究極のホスピタリティ

 

リッツ・カールトンの究極のホスピタリティ

最初に読んだリッツ本は、意外に高野さんの本でなかった。引用は、読んだときに現実と違和感があるところだったりして。理想と現実は常に違うけれど、理想を素で語って行動する人たちが集まるのもけっこう事実。

P83
「内なる顧客」を徹底する
「紳士淑女をおもてなしする私たちもまた紳士淑女です」という言葉の延長上にあるリッツ・カールトンの考え方に、「インターナルカスタマー(内部顧客)」と「エクスターナルゲスト(外部顧客)」というものがあります。(中略)この“内なるお客さま”という考え方を持ち込むと、まず調理人がモノを投げつけるなどあり得なくなります。お客さまに対しては丁寧な上司が、裏に入れば部下に対して「ばかやろう」などと怒鳴っているのでは、二重人格も甚だしい。
私も当初、リッツ・カールトンの“内なるお客さま”という考え方は理想的だと思う反面、いくらそうありたいと願っても、果たして現実的に成立するのかと疑心暗鬼でした。でも、リッツ・カールトンは実際にそれをきちんと成立させ、しかも業績を伸ばしている。逆に言えば、こうした考え方が、単なるお題目ではなく、きめ細かいところまで矛盾のない「マトリックス」として整えられているからこそ、一見不可能と思われる“理想”が実現できるのです。

P169
魅せられた本物を目指して
近年のリッツ・カールトンは、「18世紀英国風」だけではなく、「コンテンポラリー(現代的)」の要素を取り入れており、古き上質を求めるお客さまと、新しき上質を求めるお客さまの双方のニーズに応えられるようにする動きがみられます。大阪と東京のリッツ・カールトンを比べれば、コンセプトの違いは明白です。コンサバティブにせよ、コンテンポラリーにせよ、落としてはいけない要素は「本物」であることなのです。

P189
人集めの出費は限りなくゼロ
ザ・リッツ・カールトン大阪には、何もしなくても、年中、希望者から履歴書が届きます。さまざまなツールによってESの高さが語られ、キャリアアップの武器になるブランド力を持っていたりするホテルであれば、たとえ求人がなくても、応募したいと思うのは不思議ではありません。(中略)こうした理想的なサイクルが成り立っているのは、ザ・リッツ・カールトン大阪が、日常の業務のなかで、自分たちの専門分野―おもてなしに注力し、噂を呼ぶほどのブランドを築き上げているからにほかなりません。人を集めること自体を目的にコストをかけなくても、「ゴールド・スタンダード」に則ってスタッフ一人ひとりが行っている行動そのものが、人を引き寄せる。結果として、他のホテルが使うような広告宣伝費や求人広告費は圧倒的に抑えられます。こうした積み重ねも、優れた収益性に結びついているのです。

P191
できないことはその分野のプロに任せ、彼らに力を発揮してもらうことで最高を目指す。リッツ・カールトンには、プロを本気にさせる組織風土があるため、彼らが実力を発揮することで、組織における各分野の専門性と、その能力が上がっていきます。

P196-
リッツ・カールトンは、「そこまで『お客さまのため』を実践して、本当に採算がとれるのだろうか?」と心配になってしまうほど、場面場面における損得勘定を徹底的に排除し、お客さまに喜んでいただける環境づくりに、惜しまぬ投資をしています。(中略)この徹底した方針は、利益を無視した「潔さ」ともとれるかもしれませんが、私は「覚悟」がふさわしい言葉だと思います。(中略)スタッフの幸せの追究や、人材育成、建築への出費を惜しまないこだわり、またコスト圧縮のためのさまざまな取り組みも、すべてお客さまに喜んでいただける現場づくりへの強い「覚悟」の表れなのです。ますはトップが「覚悟」を持つこと―それが、リッツ・カールトンのホスピタリティ産業における“革命”の第一歩でした。

0 件のコメント:

コメントを投稿